プロポーザル

自治体が抱える空き家問題。空き家関連プロポーザルの攻略のポイントとは?

総務省が昨年9月に発表した「平成30年住宅・土地統計調査」によると、国内の総住宅数に占める空き家の割合は、過去最高の13.6%に達しました。これは、5年前と比較すると約29万戸増加しています。

国土交通省の調査によると、空き家状態となった家を取得した経緯の5割が相続となっており、その中でも約2割の人が、今後5年間の利用意向は「空き家にしておく」となっています。※国土交通省「平成26年空家実態調査」

空き家は、税金や管理コストはもちろんのこと、老朽化した建物が歩行者などに被害をもたらすリスクもあります。自治体でも頭を悩ませており、空き家の「有効活用」や空き家を作らないための「事前対策」について、民間の力を求めています。

前半では、自治体における空き家関連プロポーザルの事例をもとに、自社で参入できる案件についてイメージを膨らませていただき、後半に、空き家プロポーザルに取り組む際に知っておくべき関連施策や、攻略のポイントについて解説していきたいと思います。

事例で見る空き家関連プロポーザル案件の種類

事例で見る空き家関連プロポーザル案件の種類

空き家関連プロポーザルにも色々な種類があります。実例をもとに、自社で対応できる案件を知り、今後アプローチする際の参考にしていただきたいと思います。

空き家再生事業委託業務【青森県八戸市】

近年、全国的に増加し問題となっている空き家について、実態調査を実施して空き家の現状を把握するとともに、空き家等のポータルサイトを構築して空き家所有者と利活用希望者のマッチング支援等を行い、空き家の利活用の促進と特定空き家の発生防止を図ることを目的としたものです。

主な業務内容は3つです。

  • 空き家の実態調査及びデータベースの構築
  • 空き家等ポータルサイトの構築・運営・保守
  • 空き家対策PR動画制作

実態調査からポータルサイトの構築、PR動画制作と、業務が多岐に渡るので、組織的な業務管理体制の構築が重要視されます。

また、事業実施にあたって、地元企業のほか、PR効果と情報発信力を期待できる地元スポーツチームと連携して、空き家に対する住民意識の醸成と効果的なPRを図りながら空き家利活用の促進に取り組み、地域経済の活性化及び地域スポーツの振興に寄与することを目指しています。

参加資格としては、単体企業だけでなく、複数の企業で構成される企業連合体でも可となっており、実際に最優秀提案者として選ばれたのは、「はちのへ空き家再生プロジェクト」として、代表企業1社と構成員3社で構成された企業連合体でした。

ネットワーク構築やITコンサルの会社が中心となっています。

八戸市公式HP:https://www.city.hachinohe.aomori.jp/jigyoshamuke/nyusatsu_keiyaku/kobojoho/8620.html

空き家の普及・啓発に係る関連イベント運営業務委託【京都府京都市】

京都市では、空き家活用の先端的なモデルを示すことを目的に、まちの再生や地域の活性化に資する空き家の新しい活用方法の提案を公募し、優れた提案に対して実現に必要な費用の一部を助成する「空き家活用×まちづくり」モデル・プロジェクトを平成26年度から実施しています。

これまで採択したモデル・プロジェクトの取組み団体の活動内容を広く市民等に対して周知・啓発するため、活動内容の取材、関連イベント等を開催し、空き家活用の機運を高め、空き家の予防や活用、適正管理等へ繋げていくことを目的とした業務委託になります。

また、普及・啓発の一環として地域連携型空き家対策促進事業の取組み団体の情報交換会を開催し、取組みの活性化を図ることも含まれています。

こういった業務内容の場合は、イベント企画会社や広告関連企業などが得意としている分野です。

京都市情報館:https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/page/0000218291.html

空き家情報管理システム導入業務委託【神奈川県鎌倉市】

鎌倉市では、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき実施した「鎌倉市空き家実態調査」及び平素の空き家対策において判明した空き家等の所在地、所有者、現況等の情報をデータベース化し、管理不全な空き家等に対する苦情相談及び法第14条に基づく法的措置の効率化を目的としたシステムを導入して、空き家等対策における業務の効率化を図るなかで、空き家情報管理システム導入業務を外部に委託するものです。

仕様書を確認すると、LGWAN-ASP方式を利用したクラウド型システムを導入するという要件が入っているなど、一定の縛りがあります。

LGWAN-ASPとは、LGWANという非常にセキュアなネットワークを介して、利用者である地方公共団体の職員に各種行政事務サービスを提供するもので、システム関係の案件に参加するにあたっては必須ともいえる自治体クラウドサービスです。

これから参加しようとする企業にとっては抑えておいた方が良さそうです。

空き家プロポーザルに取り組む際に知っておくべき関連施策とは

空き家プロポーザルに取り組む際に知っておくべき関連施策とは

基本的に各自治体で取り組まれるプロポーザル案件については、国などが出す関連施策に基づいています。プロポーザル案件の勝率をアップさせるためには、これら関連施策を理解し、より国や自治体の意図に沿った提案をする必要があります。

空き家プロポーザルに取り組む際に知っておくべき関連施策をみていきたいと思います。

国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法」

平成26年に、適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしており、地域住民の生命・身体・財産の保護、生活環境の保全、空家等の活用のため対応が必要とされ制定されました。

※出典:国土交通省ホームページ(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000035.html)

この法律では、国が定めた基本方針に基づき、住民に最も身近な市町村が空き家対策計画を策定し、都道府県は技術的な助言や市町村間の連絡調整等を行うなど、行政の役割分担が明確になりました。

また、空き家の実態調査を踏まえ、所有者による適切な管理や利活用、除却後の方針のほか、「特定空家等」に対する措置などが定められました。

「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となる状態や、著しく衛生上有害となるおそれのある状態などの問題を抱えている空き家を指します。この「特定空家等」に関しては、自治体による立ち入り調査や所有者等への助言又は指導、勧告、命令など必要な措置を講ずることが可能となりました。

この法律の制定により、自治体がより積極的に空き家対策に取り組む下地が出来たと言え、近年の空き家関連プロポーザルの増加の一因となっています。

国土交通省「空き家対策の担い手強化・連携モデル事業」

国土交通省「空き家対策の担い手強化・連携モデル事業」

各地における空き家対策を加速するため、空き家に関する多様な相談に対応できる人材育成、多様な専門家等との連携による相談体制の構築、地方公共団体と専門家等が連携して共通課題の解決を行うモデル的な取り組みについて支援を行い、その成果の全国への展開を図るものです。

※出典:国土交通省ホームページ(http://www.mlit.go.jp/report/press/house03_hh_000130.html)

平成30年度に続き、令和元年度も募集が行われ、提案件数111件のうち60件が採択されています。

<代表的な採択事業の例>

部門1:人材育成と相談体制の整備

・空き家の利活用を含めた地域住民参加型のまちづくりを進めるため、不動産特定共同事業を活用した事業をサポートできるファシリテーターの育成ツールを作成する。

また、ファシリテーターへの小規模不動産特定共同事業者登録サポートのほか、各地域で進行している空き家活用プロジェクトのサポートを行う[株式会社エンジョイワークス]

部門2:空き家対策の共通課題の解決

・各地域ごとの実情を踏まえた相談員育成、研修プログラムの検討・実施による空き家担い手人材の育成を行うとともに、相談員として必要な知識、スキルの標準化モデルを検討する。

また、事前調査を踏まえた地方自治体と地域の専門家等との連携体制の構築、セミナー、相談会を通した相談対応と解決事例の蓄積や、地域住民への積極的な情報発信を行う。[株式会社LIFULL]

こういったモデル事業を確認することで、空き家に関する自治体との取組みがより明確になります。

また、この取組みの最終年度となる次年度についても、おそらく同様の募集がかかるものと思われ、こちらに採択されると、自治体との連携の実績にもなり、今後プロポーザル案件にチャレンジする際の実績としても有効になるのでチェックしておきましょう。

事例から学ぶ空き家プロポーザルの攻略のポイント【豊中市空き家利活用マッチング支援業務委託】

事例から学ぶ空き家プロポーザルの攻略のポイント【豊中市空き家利活用マッチング支援業務委託】

具体的な案件をより詳細にみることで、プロポーザル攻略のポイントが見えてきます。今回は、豊中市の空き家利活用マッチング支援業務委託についてみていきたいと思います。

ポイント① プロポーザル募集要項・仕様書を読んでみよう

まずは、募集要項の確認です。この案件の事業目的は、「空き家所有者と利活用希望者それぞれに対する啓発や相談、情報発信等のマッチング支援を行うことで、空き家の多様な利活用の促進を図るもの。」とあります。

この目的については、正確に理解し提案に繋げる必要があります。

ポイント② 審査方法及び評価項目の確認は必須!

審査方法は2段階で行われます。第1次審査は書類審査、第2次審査はプレゼンテーション審査となります。第1次審査の上位3者が第2次審査へ進めるため、書類で点数を確実に取らなければなりません

評価項目は大きく3つです。「提案内容」と「業務実施体制」「価格」となります。比重としては、100点満点中70点が「提案内容」となっているので、ここで点数を稼ぐ必要があります。

企画提案書で点数を稼ぐポイントとしては、提示されている評価項目の順序、内容に沿った構成にすることです。評価のポイントを確実に抑えた提案書にしていきましょう

ポイント③ 総合計画・行政計画を確認しよう

豊中市では、「豊中市総合的な空き家対策方針(https://www.city.toyonaka.osaka.jp/kurashi/jutaku/policy/akiyahoshin.html)」を定めています。

この中に、豊中市の空き家をとりまく現状や空き家対策における市としての基本的な考え方や視点、方向性が盛り込まれています。

企画提案書を作成するにあたり、これらの視点を盛り込むことで、より市が抱えている課題解決に対する提案として説得力が増し、評価ポイントを得ることができます。

各自治体でも、総合計画や行政計画の中に、このような個別の対策方針などを定めているケースが多くあります。
企画提案書を作成する際は、必ず確認しましょう

ポイント④ 競合他社の動向を知ろう

 競合他社としてどこが来るのか予測することも重要となります。仕様書における参加要件に特徴がないか、過去の類似事業を実施している場合は、それらの受託業者をチェックしておきましょう。

また、提案書の提出前に行われる、質問と回答にもヒントがあるケースも。

本案件の場合、質問に、「NPO法人は参加可能か」という質問が入っています。

すなわち、どこかのNPO法人が参入してくる可能性が高いことが分かります。
豊中市にある同業種の案件対応出来そうなNPOを事前に探しておくことで、対策を立てることが出来ます。

空き家プロポーザルまとめ

空き家プロポーザルまとめ

高齢化社会が進み、今後も空き家問題については、各自治体にとっても大きな課題となります。

国としても、モデル事業を発信するなど積極的に空き家対策を推し進めようとしています。

事例を見て分かるように、空き家関連プロポーザルにも、調査業務から、システム構築、イベント企画など、様々な業務があります。

各自治体における課題や解決の方向性も異なります。しっかりと情報収集をした上で、自治体が重視している点を満たし、かつ競合他社にできないこと、あるいは競合他社を上回る要素を盛り込むことが、プロポーザルの勝率アップに繋がるでしょう。

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