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地方創生で企業誘致が果たす役割と明暗を分かつポイント

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はじめに

地方創生で企業誘致が果たす役割と明暗を分つポイント

地方における企業誘致は、雇用の創出や経済活性化の有効策のひとつです。

企業と地域の利益で一致が見られれば、相互的な成長が可能となり、長期にわたって良い関係を築いていくことができます。

しかし過去の例を見ると、必ずしも成功している地域ばかりではありません。
それどころかむしろ、失敗といわざるを得ない事例の方が多いように感じられます。

企業側で思うような成果が上げられずに計画が頓挫したり、経営状態が悪化して地方から引き上げたりといったのは良く聞く話です。

苦労して企業誘致をしても数年でそうした状況となれば、逆に大きな傷となり地域の衰退を招きかねません。

地方誘致の成功を導くためには、地域の特性に合致した事業計画とそれを実施できる企業の選択です。

加えて自治体による適切なフォローがなされれば、永続的な事業運営も可能となるでしょう。

地方創生につなげられる企業誘致とするのは、自治体が主体となった戦略的な取り組みです。

ただ「来てもらえば良い」という考え方では、過去の失敗をくり返すだけに終わります。

地方主体の「戦略型企業誘致」としていくには、現状の課題や地域性を良く把握しながら、企業としっかりと手を携え、進行していく姿勢が求められます。

地方創生における企業誘致の位置づけと現状

地方創生における企業誘致の位置づけと現状

①企業誘致は地方創生の歴史の目玉

地方活性化の歴史の中で、いつの時代も企業誘致は大きな目玉として注目されてきました。

戦後の企業誘致は、地域産業振興政策の一環として国が主導して行われました。

その結果、一定の地方への工業地帯の過度な集中が問題となり、分散化が新たな課題とされます。

経済成長の底上げを図って、各地で研究所などの設置が盛んになりました。
この時代は、いわゆるハコものを設置することが地方の活性化の有効策であるとされていたのです。

しかしある程度の効果は見られたものの、こうした動きは中核都市の規模にとどまるものでした。

地方のすみずみまで活性化するには至らず、広がりに欠けたことは否めません。

やがて海外市場での競争力激化によって、生産地は都市近郊が好まれるようになります。
遠隔地に展開していた企業の撤退が相次ぎ、地方の工業地帯は衰退していきました。

こうした過去の例を踏まえて、地方創生への考え方も地域の自立推進を促すものへと変化していきます。

「来てくれる」企業に任せるのではなく、地方が自ら主体となって誘致戦略に乗り出す時代となりました。

加えて情報通信技術の発達により、これまで主体であった工業からそれ以外の分野の誘致へと、分化傾向を見せ始めています。

②地方創生において企業誘致に求められるもの

地方創生を目指す企業誘致で求められるものとしては、以下のようなものが挙げられます。

①経済の活性化

日本経済全体が停滞する中で、これまでのような国からの援助は当てにできなくなってきています。

ひっ迫する地域経済を立て直し、自治体として存続していくためには「稼ぐ力」を成長させる必要があります。

稼げる地方への足がかりとなるのが、企業誘致です。

企業が落とす税金だけではなく、事業にともない、新たな産業が育つ可能性もあります。
起業する人や移住者が増えれば、地方財政も潤いを増すでしょう。

企業の事業が新しい展開をもたらし、人を呼び込む土壌となります。

②人材雇用の拡大

企業が事業を開始すれば、人材が必要となります。
雇用の拡大は、住む人に安定した収入を与えるでしょう。

故郷で安心して働くことができれば、人口流出の防止策となります。

またさまざまな人材を多角的に掘り起こし、年代や性別にとらわれないで働けるダイバーシティ社会を地域にもたらす可能性も広がります。

③地場企業との連携・連鎖の拡大

企業が単独で行える事業は、ほとんどありません。

各種部品の調達、周辺環境の整備、運搬や流通など、さまざまなシーンで地元との関わりが生まれます。

事業が進むにつれて新しいニーズが見つかり、地場企業と連携して行うプロジェクトが発足することも考えられます。

ひとつの事業が次の事業を呼び、連鎖的な拡大が起こるかもしれません。
水の波紋が広がるように、誘致企業を中心にした新しい経済が動き始めます。

④未来へに向けて発展可能な産業を形成

地方では自治体や既存の企業だけでは、大きな成長が期待できる事業を起こすのはかなり難しいと思われます。

企業誘致を起点として新しい動きが開始すれば、未来に向けた産業形成も可能となります。

誘致企業は、外部の視点をもって地域資源を見出します。
地域の持つ課題についても、解決の手がかりとなる提案が得られることも期待されます。

もともと地域が持っている力と企業誘致によって与えられる活力の的確なマッチングによって、持続性のある経済の発展も不可能ではなくなります。

③地方創生における企業誘致の現状

国は地方創生の強化策として平成30年度税制改正を行い、小規模オフィスの移転や拡充などを対象とした支援を実施しています。

要件緩和や移転型事業の対象地域の追加など、企業誘致をしやすい環境づくりを目指します。

しかし2020年までに計7500件を実現するという、地方拠点拡大の計画における政府目標の達成は困難と見られています。

国内市場が縮小する中にあって、海外進出時の利便性を重視する企業が多く、交通の便の問題がネックとなっているようです。

一方で先に挙げた地方拠点強化税制の他、地域再生法の改正などにより、地方の公共団体が主体となって新しい企業誘致の動きが活発化しています。

企業誘致セミナーと連携した企業への周知活動の開催などを積極的に実施した結果、本社機能の一部移転に積極的な姿勢を見せる企業も出始めています。

企業側ではBCP(事業継続計画)や事業運営の最適化など、現代の状況に合わせた経営を行うひとつの手段として、地方での拠点づくりを考えていると見られます。

またJETRO調査によると、外国企業の6割以上が東京以外への進出を検討しているという報告もあります。

地方創生に向けて劇的に企業誘致が進んでいるとまでは言えませんが、地方にとっては今後の動きに十分な期待がもてそうです。

地方創生における企業誘致の課題

地方創生における企業誘致の課題

①方向性の一致

企業誘致についての過去のケースでは、補助事業としてハコものを整備してもテナントが埋まらない例が多く見られました。

またせっかく生産拠点を誘致しても、事業の悪化により撤退するというリスクは避けきれません。

最悪の結果を回避するためにも企業誘致にあたっては、地域の戦略と企業の戦略の合致が必要です。

十分なすり合わせを行うことで、地域が企業に対してどのようなフォローを実施していけば良いのかを具体的に理解できるでしょう。

地方創生策として継続していくには、地域における産業振興の重点分野と企業側の進めたい事業が、好作用を起こせるのかを見極めなければなりません。

自治体側は「とにかく来てくれればありがたい」という考えを捨て、将来にわたって相互利益が実現できる企業誘致を目指す必要があります。

②交通網などの地方が抱える弱点の克服

企業誘致の現状にも出ていたように、道路・鉄道などの物理的な整備がポイントとなる場合もあります。

どの分野の企業を呼び込むかによっても事情は異なりますが、地域が目指す方向性に従い、事業の利便性が高められるように働きかけます。

大容量回線など情報インフラの整備により、サテライトオフィスの誘致に成功した例もあります。

地理的に不利な地域でも、何をすれば魅力が生きるのかを十分に検討することで、勝機が生まれます。

③自治体による企業ニーズの把握

自治体は企業についての研究を深め、望む立地環境を十分に把握する必要があります。
大切なのは、自分たちではなく相手の立場からの視点です。

また進出企業の継続的な成長のフォローのしくみづくりを考えることが、撤退への予防策となります。

企業誘致の善後策を良く検討することが、受け入れ側としての本気度を示します。

地方創生における企業誘致の成功事例

地方創生における企業誘致の成功事例

①岩手県北上市

岩手県北上市は地道な企業誘致によって、工業地帯集積地としての発展を遂げています。

同市では戦略的な計画に従い、早くから独自に用地買収に動いてきました。
それを可能としたのは、各ステージでの具体的な目標の設置によるものです。

企業誘致後には、周辺産業との連携に力を入れました。
工業分野の各段階を担う企業を幅広く誘致し、最終的には大規模な産業集積地の形成に至りました。

岩手県北上市の取り組みについて詳しく知りたい方はこちら

②福岡県福岡市

福岡市が乗り出したのは「天神ビッグバン」と称する民間再開発促進事業です。
これにより古いビルの建て替え事業が行われ、企業誘致が進められています。

計画では、2024年までに30棟のビルの建て替えを行うとされています。

すでにオイシックス、ケンコーコム、メルカリ、LINEといった大手ITベンチャー企業の誘致に成功しています。

アジア市場にも近いという地の利を生かし、さらに多くの企業の呼び込みを強化しています。

活発な動きが評価され、野村総合研究所によるランキングでは「成長の伸びしろが大きい都市」の第1位を獲得しています。

福岡県福岡市の取り組みについて詳しく知りたい方はこちら

③沖縄県うるま市

沖縄県うるま市が目指しているのは、新興国と対等に渡り合えるコールセンターの集積地です。

沖縄県は全国の中でも最低賃金が低いことで知られていますが、その賃金の低さを逆手に取り、企業誘致に活かしています。
加えて「特別自由貿易地域」、「情報通信産業特別地区」、「金融業務特別地区」など国の政策との取り組みと連動し、大きな成果が期待されています。

実際に自国内で事業を行えるという付加価値を強くアピールしたことで、情報通信関連企業の急速な進出が目立っています。

沖縄県うるま市の取り組みについて詳しく知りたい方はこちら

まとめ

成功への道

成功事例からは地域特性の十分な把握と、誘致する企業のニーズに精通していることが重要であるのがわかります。

ただ企業を呼び込むのではなく自治体が主体性をもち、戦略的に誘致していかなければ、継続的な発展は望めません。

地場産業との連携を視野に入れた誘致であること、進出企業に対して有効なフォローが継続できることが、地方創生における企業誘致の成功のカギとなります。

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