官公庁ビジネス拡大のチャンス!地方創生EXPOとは?

目次
はじめに
第二次安倍政権発足後で「地方創生」政策について発表されました。
この地方創生を実現するために、企業と官公庁などが集まり、大きな商談展示会が行われています。
それが地方創生EXPOです。
地方創生EXPOに集まる官公庁は、どのような目的を持って集まっているでしょう?
地方が抱える課題と、官公庁が考える戦略はどのような内容でしょう?
ここでは、自治体ビジネス拡大のチャンスになる地方創生EXPOや、官公庁の目的について解説します。
地方創生EXPOはどんな商談展示会?
(出典:地方創生EXPO フォトギャラリー)
地方創生EXPOは、企業と自治体や地域創生に係る団体が商談を行うための商談展示会です。
様々な製品やサービスを提供できる企業と、地方創生につながる製品やサービスを探している官公庁などが集まる大きな官公庁ビジネスイベントです。
出展する企業
地方創生EXPOに参加する企業はどのようなサービス・製品を提供するのでしょうか?
- 地域PR、プロモーションを手がける企業 ー広告メディア企業や、広告の企画振興企業などです。
- 観光振興に関する企業 ーコンテンツ開発企業や、決済システム開発企業などです。
- インバウンド支援に関する企業 ー外国人旅行者に対応できるような多言語支援や外国人向けプロモーションを手がける企業などです。
- 地域ブランディングに関する企業 ー地域独自の商品開発企業やプロデュース企業などです。
- 地産品販路開拓に関する企業 ーデジタルマーケティング企業や、EC企業などです。
- 雇用創出や雇用支援に関する企業 ー就労支援企業や人材紹介企業などです。
来場する官公庁
来場する官公庁はどのような官公庁でしょうか?
- 地方公共団体の関係課 ー地方創生政策は多くの部や課が係る政策です。
- 中央官庁の省庁関係課 ー地方創生政策は地方だけの問題ではなく、日本全体の政策ですので、中央官庁も関係します。
- 独立行政法人、公益法人
ー独立行政法人は、平成31年4月1日時点で87法人あります。
ー公益法人は、平成30年11月時点で9,573法人あります。
地方創生政策は日本全体の政策ですので、地方創生に関係する独立行政法人や公益法人もあります。
- 観光協会・コンベンションビューロー
- 商工会・商工会議所
- 地方銀行
- 公共機関
鉄道会社や電力会社、エネルギー会社などです。
商談内容は?
地方創生EXPOは、どのような商談が行われるのでしょうか?
- 新規の取引の提案・依頼
- 課題解決の提案・依頼
- 連携協定の提案・依頼
- 協同プロジェクトの提案・依頼
- 業務受託の提案・依頼
などが行われます。
地方創生は日本全体の課題
地方創生EXPOでは、地域が抱える課題解決方法を探しに国や地方公共団体などが集まります。
それでは、現在の「地域が抱える課題解決」とはどのようなことでしょうか?
最も大きな課題は、日本全体の問題である人口減少です。
2008年に始まった人口減少は、今後も加速度的に進むと予測されています。
さらに、人口減少の度合いや進み方は地域によって違います。
東京都区部 | ▲6% |
人口5万人以下の地方都市 | ▲28% |
過疎地域市町村 | ▲40% |
このように、人口減少の進み方の差が激しいのです。
地方の人口が大幅に減少することで、東京都市部に働きに出る人口も減少します。
最終的には、大都市である東京都市部も大きく衰退していくことが予想されています。
地方を支えることは、大都市である東京都市部の課題でもあります。
平成26年安倍内閣は「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン -国民の「認識の共有」と「未来への選択」を目指して-」を閣議決定し、地方創生の方針を打ち出しました。
【地方創生の戦略】
積極的な戦略 | 人口減少に歯止めをかける |
調整するための戦略 | 人口減少に対応する |
地方創生の基本理念は次のとおりです。
✔︎「東京一極集中」の是正
✔︎ 若い世代の就労・結婚・子育ての希望の実現 ✔︎ 地域の特性に即した地域課題の解決 |
地方創生に関する様々な分野
地方創生には様々の分野の専門家が集まり、アイデアを集め、支援しています。
地方創生の主な分野は次のとおりです。
観光 | DMO(Destination Management Organization)、ローカルブランディング、インバウンド、海外交流など
※DMOとは、地域にある観光資源に精通し、地域と協同して観光地域作りを行う法人のことです。 |
しごとづくり | 地域産業や農林水産業を支援し、進出企業を促進することで、雇用を促進します。 |
まちづくり | 地域の市街地を活性化したり、都市再生を行います。近年、環境面でも配慮されたモデル都市なども注目されています。 |
地域コミュニティ | 集落の再生、地域コミュニティの活性化などです。 外部からの移住や定住を促進します。 CCRC(継続的なケア付きの高齢者共同体)や「小さな拠点」づくりなども注目されています。※「小さな拠点」とは? 小学校区など、複数の集落が集まる基礎的な生活圏の中で、分散している様々な生活サービスや地域活動の場などを「合わせ技」でつなぎ、人やモノ、サービスの循環を図ることで、生活を支える新しい地域運営の仕組みをつくろうとする取組です。(国土交通省「小さな拠点」) |
地域医療 | 人口減少に適応した、地域医療・地域福祉など |
ひとづくり | 子育て支援や、教育支援、人材育成などです。 |
地域交通 | 地域を活性化する地域交通 |
情報通信 | IT化などです。 |
その他 |
地方創生EXPOに参加する官公庁の目的
地方創生EXPOに参加する官公庁はどのような目的を持って参加しているのでしょうか?
政府主導の日本全体の目的である「地方創生」のビジョンや戦略から解説します。
目的① 地方の人口減少を和らげる
まち・ひと・しごと創生長期ビジョン(令和元年改訂版)及び 第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、「地方の人口減少を和らげる」ために次のような政策ビジョンを掲げています。
✔︎ 結婚・出産・子育て の希望をかなえる
✔︎ 地方に住みたい希望をかなえる |
地方には、地元で結婚し、出産子育てをしたいと思う地域の人々がいます。
しかしながら、結婚の支援や、出産・子育て支援や、子育てをした後も働き続けることができる支援がまだ不十分です。
官公庁では、日本政府主導の地域創生目標を達成できるように、地方の結婚・出産・子育ての支援を考えています。
基本目標 | 目標を実現するための方向性 |
結婚、出産、子育て しやすい環境の整備 |
結婚・出産・子育ての支援
仕事と子育ての両立に対する支援 地域の実情を考えた支援 |
地元でくらす人々への結婚、出産、子育て環境支援と同時に、地方移住や移住者の定着も基本目標としています。
これは、東京一極集中を是正するためにも重要な目標です。
基本目標 | 目標を実現するための方向性 |
地方移住・定着の推進 | 地方移住の推進
若者が修学・就職することで、地方に定着できるように推進 |
目的② 「活力ある地域社会」を実現したい
地域を活性化するためにも、若者や地方移住者が定着するためにも、安心して働き続けることができる職場が必要です。官公庁は、産業振興や人材確保・人材育成を通して活力のある地域社会を作りたいという目的を持っています。
基本目標 | 目標を実現するための方向性 |
生産性が高く、稼ぐ力のある地域の実現 | 地域の資源や地域の産業を活かして、競争力を強化します。 専門的な能力のある人材の確保や、人材を育成します。 |
安心して働ける環境の実現 | 若い世代の正規雇用を進め、働きやすく魅力的な就業環境を作り、担い手を確保します。 |
目的③ 人口減少に適応した地域を作りたい
人口減少に応じた地域を作る必要があります。
人口減少に伴い、生活サービスを維持することが困難になったり、インフラの老朽化、空き家対策、地域コミュニティの縮小が課題になっています。
日本政府は「小さな拠点」の形成を進めています。
時代に合った地域をつくり、安全なくらしを守るとともに、 地域と地域を連携する |
官公庁との商談を進める上での必須知識
官公庁との交渉・商談を進める上で、最近特に注目されている必須知識を紹介いたします。
Society 5.0
平成28年1月22日に閣議決定された、「第5期科学技術基本計画(平成28~平成32年度)」で日本が目指すべき未来社会の姿を提唱しました。
それがSociety 5.0です。
Society 5.0とは | ポイント |
IoTですべてのモノと人がつながり、新しい価値が生まれる社会 | 従来の情報化社会では不十分だった、知識や情報の共有や連携を進めます。 |
イノベーションにより様々なニーズに対応できる社会 | 地域の課題や高齢者のニーズに十分に対応できる社会を作ります。 |
AIにより、必要な情報が必要な時に提供される社会 | これまでは必要な情報を探し、分析することに能力が必要でしたが、誰でも必要な情報を提供される社会を作ります。 |
ロボットや自動走行車などの技術で、人の可能性が広がる社会 | 年齢や障がいの有無に関係なく、労働範囲や行動範囲が広がる社会を作ります。 |
令和3年から始まる「第6期科学技術基本計画」についても一度確認されることをお勧めいたします。
持続可能な開発目標(SDGs)
2015年9月の国連サミットで採択された、2030年を期限とする17の国際目標です。
地方自治体や国の省庁はもちろんのこと、企業やNGO、学校などすべてのステークホルダーが関わります。
持続可能な開発(SDGs)の中には気候変動対策も含まれています。
ビジネスと人権に関する我が国の行動計画(NAP)
(出典:経団連)
1990年代後半から、企業活動における人権問題が注目されています。
2015年6月、ドイツで行われたG7サミットで「ビジネスと人権に関する我が国の行動計画(NAP)」 について提言がありました。
日本政府・経団連・弁護士会・国際労働機関(ILO)など様々なステークホルダーが意見交換を行っています。
日本も行動計画を発表する予定です。
今後、官公庁などが発注する公共事業などにも、この視点が盛り込まれる可能性がありますので、是非ご確認ください。
参考になるリンクをご紹介します。
【NAPステークホルダーの意見交換及び意見提言】
外務省「ビジネスと人権に関する行動計画に係る作業部会・諮問委員会」
経団連「人権を尊重する経営の推進と 我が国の行動計画(NAP)に対する意見 -概要版-」
ビジネスと人権 NAP 市民社会プラットフォーム「ビジネスと人権に関する国別行動計画 (NAP)策定への市民社会からの提言」
おわりに
いかがでしたでしょうか?
地方創生政策は、日本政府が力を入れて取り組む国家規模のプロジェクトです。
地方の人口減少と東京一極集中を緩和するために、多くの組織が動いています。
地方創生に向けて動く官公庁などが集まる地方創生EXPOは注目の商談展示会です。
是非、この機会に地方創生EXPOについてご確認ください。