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包括連携協定とは?そのメリットは?

はじめに

地方自治体が民間企業と包括連携協定を結ぶ事例が増えています。

しかし、包括連携協定という言葉がわかりにくいと感じる方がほとんどではないでしょうか。

  • 包括連携協定とはどういう意味なのか?
  • 官民連携事業(PPP)との関係は?
  • 協定内容はどのようなものなのか?

など

ここでは、包括連携協定について徹底解説します。


包括連携協定の定義

包括連携協定の定義

包括連携協定の概要

「包括連携協定」のそれぞれの言葉の意味は次のとおりです。

包括とは すべてをまとめること。
連携とは 官公庁と民間企業などが互いに連絡を取りながら物事を行うこと。
協定とは 官公庁と民間企業などが協議して決めること。
継続的・安定的な関係を結ぶこと。
官公庁と民間企業などを強く縛る方式ではないところが特徴です。

包括連携協定の大きなポイントは

✔︎ 入札やプロポーザルを経ず

✔︎ 特定の企業が

✔︎ 政策決定の段階から地域課題解決に係る

という点です。

民間企業としては、一度協定を結ぶことができれば、とても効率的で動きやすい官公庁ビジネスです。

包括連携協定はPPPのひとつ

包括連携協定とは、官民連携事業(Public Private Partnership)のひとつです。

官民連携事業とは、通称PPPと言われます。

官民連携事業(PPP)には様々な種類があります。

【様々な官民連携事業(PPP)】

通常の公共事業 国や地方公共団体などの官公庁が、公共の福祉のために、民間では対応が困難な公共施設などの整備を行います。

①国が直接行う「直轄事業」
②国が地方公共団体に補助金を出して地方公共団体が行う「補助事業」
③地方公共団体が独自に行う「地方単独事業」
④独立行政法人が行うもの

があります。

包括的民間委託 官公庁が、複数の業務や施設を、民間企業へ包括的に委託することです。
複数の業務、複数の施設を複数年度にわたって委託します。
無駄を省き、民間事業者の創意工夫を引き出す方法です。
指定管理者制度 従来、官公庁など公的機関のみが行っていた「公の施設」の管理を、民間企業やNPO法人などに任せる管理制度です。
官公庁と民間企業などの契約ではなく、官公庁が「指定」する方式です。
PFI(サービス購入型) 官公庁が、民間企業などからサービスを購入するという意味です。
民間企業などは、自ら資金を調達し、設計、建築、維持管理、運営までを行います。
PFI(収益型) 官公庁から、民間企業などが公的施設の建築や運営をまかされます。
民間企業などが受け取る対価は、公共施設の活用による事業収入です。
PFI(収益施設併設型) 官公庁から、民間企業などが公的施設の建築や運営をまかされます。
民間企業などが受け取る対価は、公共施設に併設した事業の事業収入です。
PFI(コンセッション 型) 官公庁が施設の所有権を持ったまま、運営権を民間企業などにすべて渡す方法です。

 

それでは、包括連携協定とはどのような形式の官民連携事業(PPP)なのでしょうか。

従来は、事業ごとに個別に民間企業などに契約を行っていました。

入札や提案を行い、複数企業などの選抜を経て、ひとつの民間企業が契約をしていました。

国や地域の問題を探し出し、解決策を考えるのは官公庁であり、その解決を個別に民間企業などに入札などの手続きをふまえて委託していました。

従来は、政策決定者と政策実行者が分かれていました。

新しい官民連携事業(PPP)である包括連携協定では、政策決定の段階から民間企業などからの問題提起やアイデアを取り入れることになります。

包括連携協定の協定相手は多様

官公庁が行う包括連携協定の協定相手は、幅広い範囲の組織です。

【協定相手の事例】

他の官公庁 他の省庁や地方自治体などの官公庁との連携事例もあります。
金融機関 金融機関との連携です。
働き方改革」において金融機関と連携する事例があります。
高校 高校と地方自治体の連携事例があります。
若い世代の発想力や行動力を活かす包括連携協定です。
大学 官公庁と大学、大学と大学の包括連携協定など多数事例があります。
その他の独立行政法人 大学以外の独立行政法人には、博物館や病院、研究機関などがあります。
弁護士会 地方自治体が、地元の弁護士会と包括連携協定を締結している事例があります。
その他の団体 NPOなど

特に制限はないため、様々な形の組織が係ることが可能です。

官公庁の組織ごと・政策方針ごと・年度ごとにより、範囲が変わる可能性があります。

官公庁の方針や、都道府県知事・市町村長の方針を確認することが必要です。


包括連携協定ができた理由

包括連携協定ができた理由

包括連携協定は、その他の官民連携事業(PPP)と比較しても、柔軟性が高い官民連携事業です。

従来の官公庁は、「公平性」「透明性」を重視し、限られた範囲内でしか民間企業などと連携を取りませんでした。

それでは、なぜ包括連携協定のような柔軟性の高い官民連携事業ができ始めたのでしょう。

✔︎ 大規模な自然災害の頻発

✔︎ 少子化・高齢化

✔︎ 新しい行政サービスが必要

があげられます。

【理由①】大規模な自然災害の頻発

日本は、地震や台風、水害などの自然災害に向き合ってきました。

今後は、気候変動による大規模な自然災害が続く可能性が高いと言われています。

ドイツのシンクタンクGermanwatchが発表した『世界気候リスク指数2020』という報告書では、2018年に最も気候変動の影響を受けた国は日本と指摘されています。

自然災害が起きた時、例えば次のような対応が必要です。

  • 救援物資の供給
  • 避難場所の提供
  • 災害情報の提供
  • 住民とのコミュニケーション

そして、一刻を争う迅速な対応が必要です。

このような場合には、行政だけで判断し対策をとるよりも、民間企業などと連携してシステムを作り実施する方がより早く効率的になります。

包括連携協定の事例としては、次の事例があります。

イオン株式会社 地方自治体との防災に関する包括連携協定
LINE株式会社 神奈川県と災害情報の発信などで包括連携協定

【理由②】少子化・高齢化

少子高齢化については、長年その対策が政府に求められてきました。

しかしながら、少子高齢化の傾向は改善されずにいます。

少子高齢化の問題点は次のとおりです。

  • 経済活動の担い手が減ってしまうことで起こる経済規模の縮小
  • 地方の担い手の減少
  • 東京圏の高齢化
  • 税収不足と社会保障費の増大による財政難

人もお金も制限ができている中で、行政の業務を効率化しなければなりません。

民間企業などの創意工夫やノウハウを反映させて、より良い政策を作る必要があります。

そのため、民間企業などの意見を柔軟に取り入れられる包括連携協定ができました。

【理由③】新しい行政サービスが必要

スマホの普及などの通信手段の変化、グローバル化、多文化共生などにより国民・住民のニーズが変化しています。

この生活の変化を踏まえた行政サービスが求められています。


民間企業のメリットは?

民間企業のメリットは?

それでは、官公庁との包括連携協定を結ぶことで、民間企業にはどのようなメリットがあるでしょうか?

有効な広報活動

包括連携協定を行うことで、国や地方の課題を解決をすることになります。

国民や地域住民の方々の生活に身近な「行政」の場で問題解決を行うことは、有効な広報活動になります。

企業の社会的責任(CSR)

企業の社会的責任は、通称CSRと言われます。
英語ではcorporate social responsibilityです。

企業が倫理的観点から事業活動を通じて、自主的に社会貢献をする責任のことです。

企業の活動が社会へ与える影響に責任をもち、あらゆる利害関係者にとってプラスになるように社会貢献をすることです。

包括的連携協定は、CSR活動を達成するためにメリットのある協定です。

新しい形のコラボレーションが可能

包括的連携協定は、協定対象が幅広いところが特徴です。
他の官公庁や大学、高校、NPOなども対象になります。

緩やかな繋がりのコラボレーションが可能なメリットがあります。


包括連携協定の内容は?

包括連携協定の内容は?

国や地方自治体などの官公庁と包括連携協定を締結する時、どのような協定を結ぶのでしょうか?

例えば、「千葉市と株式会社ZOZOとの包括的な連携に関する協定書」では次のような連携事項があります。

(1)魅力を高めるまちづくりの推進に関する事項
(2)文化・教育及びスポーツ振興の推進に関する事項
(3)災害時における対応、防災、防犯に関する事項
(4)地域経済活性化に関する事項
(5)千葉市の施策の推進に関する事項
(6)その他市民サービス向上に関する事項

また「神奈川県とLINE株式会社との連携と協力に関する包括協定」では次のような連携事項があります。

(1) 県政情報発信・広報に関すること
(2) 相談事業に関すること
(3) 電子化の推進に関すること
(4) 災害対策に関すること
(5) 未病を改善する取組に関すること
(6) 社会的課題の研究に関すること

「神奈川県と株式会社スリーエフとの連携と協力に関する包括協定」では、次のような連携事項があります。

(1) 神奈川の農林水産物、加工物、工芸品の販売、活用に関すること
(2) 観光振興に関すること
(3) 少子化対策・子育て支援などに関すること
(4) 健康増進・食育に関すること
(5) 高齢者・障害者支援に関すること
(6) くらしの安全・安心に関すること
(7) 青少年の健全育成や職業意識の醸成に関すること
(8) 災害対策に関すること
(9) 環境保全に関すること
(10) その他、県民サービスの向上・地域社会の活性化に関すること

このように、大きな方針を決めたあと、官公庁と民間企業などが協議しながら進めていくことができる事項になっています。


おわりに

おわりに

いかがでしたでしょうか?

包括連携協定とは、従来の官公庁と民間企業などの契約と違い、柔軟性の高い「協定」です。

今までは、政策を決定する官公庁と、受託する民間企業とで、はっきりと違う立場で行政サービスを作り上げてきました。

しかし、包括連携協定という形であれば、政策決定の場に、より効率的でより良いアプローチができます。

大規模災害の頻発や、少子高齢化による財政難、国民・地域住民のニーズの多様化などに迅速に対応できる官民連携方法として注目されています。

この機会に、是非一度「包括連携協定」をご検討ください。

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