一般競争入札とは?わかりやすく徹底解説

目次
はじめに
官公庁ビジネスは将来性も安定性もあるビジネスとして、とても注目されています。
そこで、
国や地方自治体といった官公庁との取引を始めたいが何から始めたら良いだろうか?
官公庁ビジネスで未経験であっても勝てる方法は?
とお考えの方々が多いと思います。
そのひとつの選択肢に一般競争入札があります。
ここでは、メリットを含め一般競争入札について説明します。
一般競争入札に参加するメリット
一般競争入札には次の5つのメリットがあります。
価格だけで勝負できる | 他の入札方式と違い、価格だけで勝負できるメリットがあります。 |
経験無しでもチャレンジできる | 資格審査さえパスすれば、官公庁との取引の経験がなくても入札に参加できます。 |
設備投資がいらない | 通常、事業を拡大する際には設備投資が必要ですが、一般競争入札に参加することにそこまでの設備投資は必要でなく、チャレンジしやすい。 |
利益やコストを予測しやすい | 落札者を決定する基準は予め決められており、入札参加の利益やコストを見積もりやすいメリットがあります。 |
将来の安定した官公庁ビジネスに繋がる | 実績が次の取引につながります。 |
などです。
一般競争入札は最初が肝心!
国や地方自治体などの官公庁との取引では、過去の官公庁との取引実績の有無や内容が大きく影響します。
どの官公庁で、いくらぐらいの、どのような内容の受注を行なったのか?その成果物やサービスの品質はどうだったのかについてしっかり評価されます。
もし最初に良い仕事を成し遂げていれば、官公庁から「入札に参加しませんか?」と指名が来たり、直接発注が来たりします。
また、他の組織である官公庁でも、その実績が評価されます。
例えば、A県庁の仕事内容が、隣のB県庁やC市役所や国の機関でも評価されます。
広く募集され、公平に評価される一般競争入札で、良い実績を作ることがとても重要です。
一般競争入札が作られた理由は?
ポイントは ✔︎ 透明性 と ✔︎ 公平性 |
本来、国や地方公共団体などの官公庁の仕事は、すべて国民や地域住民が判断し、決定する仕事です。
国や地方公共団体などの官公庁の仕事の決定権は、議員や公務員にはありませんので、いつでも、本来の決定権者である国民や地域住民に、「なぜこの事業をこの事業者に発注したのか?」についてはっきりと説明できるようにしておく必要があります。
そのための透明性の確保のために一般競争入札が考えられています。
さらに、一部の事業者と官公庁が癒着し始めると、官公庁が発注した事業も品質が悪くなりがち、料金も高くなりがちです。
品質の低下や価格高騰を防ぎ、公平性を確保するために、一般競争入札が考えられています。
透明性 | システムや組織の仕組み、意思決定が、誰から見てもはっきりとわかりやすくしてあること |
公平性 | 不正やごまかしがないこと |
官公庁が行う事業者選定の方法は?
国や地方公共団体などの官公庁が行う事業者選定の方法には、次のような方式があります。
一般競争入札 | 不特定多数の募集をつのり、競争を行わせ、落札者を決定する方式です。 最も機会均等である入札方式です。 |
指名競争入札 | 官公庁があらかじめ指名した、幾つかの事業者のなかで競争を行わせ、落札者を決める方式です。 指名される事業者が固定化してしまうデメリットがあります。 |
随意契約 | 官公庁が自由に事業者を選ぶ方式。競争は行われない。 |
一般競争入札の流れは?
入札に参加するには?
入札に参加するには、あらかじめ決められた「入札参加資格」の条件を満たすことが必要です。
一般競争入札の入札参加資格の基本ルールは、地方自治法施行令第167条の4にあります。
※入札ごとに具体的に提示されますので、必ず確認し、疑問点は官公庁担当者に確認しましょう。
※法改正や規則の改正などにも注意しましょう。
一般競争入札に「参加できない条件」
- そもそも、契約を結ぶ法的な能力がない者
- 破産手続が始まり、まだ復権していない者
など、せっかく落札者を選んでも、契約を結べなければ意味がありません。
法的な契約をちゃんと結ぶことができる者のみを一般競争入札に参加させます。
この「参加できない条件」には、「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第32条」の規定もあります。
次の法令を一度確認してみてください。
参考:地方自治法施行令167条の4
普通地方公共団体は、特別の理由がある場合を除くほか、一般競争入札に次の各号のいずれかに該当する者を参加させることができない。 一 当該入札に係る契約を締結する能力を有しない者 二 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者 三 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第三十二条第一項各号に掲げる者 2 普通地方公共団体は、一般競争入札に参加しようとする者が次の各号のいずれかに該当すると認められるときは、その者について三年以内の期間を定めて一般競争入札に参加させないことができる。その者を代理人、支配人その他の使用人又は入札代理人として使用する者についても、また同様とする。 |
一般競争入札の流れ
一般競争入札の基本的な流れは、共通しています。
ここでは基本的な入札の流れについて説明します。
公告 | ・入札に参加するために必要な資格 ・入札の場所と日時 ・入札の具体的な内容などの必要な情報を広く知らせます。 |
資格審査 | 入札する資格があるのかを審査します。 入札資格審査の申し込みは、官公庁によってインターネットでもできます。確認してみましょう。 |
入札 | 入札保証金を納付します。 入札書の書き換えや引き換え、撤回はできません。 |
開札 | あらかじめ決められた方法で落札者を決めます。 入札後に、職員の立会のもと開札します。 電子入札などの場合もあります。 |
契約の締結 | 契約書への記名・押印で契約が成立します。 |
一般競争入札のはじめ方
事業者登録等を行う
国や地方自治体などの官公庁では、入札に参加する前に事業者登録を必要とする官公庁があります。
詳しくは、国や地方自治体に確認してください。
(具体例:東京都港区 業者登録について)
一般競争入札に関する書類を集める
書類を集める方法は次のような方法があります。
✔︎ 説明会に参加して入手する
入札が行われる前に、説明会が行われます。
説明会に出席して、書類を手に入れましょう。
✔︎官公庁の窓口に直接取りに行く
官公庁の担当窓口でも書類を配布していますので、直接取りに行くこともできます。
✔︎公式サイトからダウンロードする
官公庁によっては、公式サイトで公開している官公庁もあります。
公開されている場合は公式サイトからダウンロードすることもできます。
入札において特に重要な書類は次の5つの書類です。
入札説明書 | 入札についての具体的な内容が書かれています。 ※官公庁ごと、入札ごとに内容が違うことがありますのでしっかり読み込むことが必要です。例えば、次のような具体的な内容が書かれます。・入札の参加資格についての具体的な内容 ・官公庁側の担当部局・部署・担当者の名前や連絡先・発注する事業の具体的内容 ・納期 ・質問する場合の連絡先 ・入札書の提出先などです。 (具体例 東京少年鑑別所職員宿舎内装等改修工事の入札説明書) |
仕様書 | 発注する事業内容について具体的に書かれたものです。
(具体例 国土交通省 北海道開発局 道路・河川工事仕様書) |
入札心得書 | 入札における基本的なルールが書かれている重要書類です。
※官公庁ごと、入札ごとに内容が違うことがありますのでしっかり読み込むことが重要です。 例えば、次のような基本ルールです。 ・入札の基準となる法律・政令・条例・規則など などです。 (具体例 法務省競争入札心得) |
入札書 | 入札する際の、入札する意思表明とともに金額を書く書類です。
※官公庁ごと、入札ごとに様式が違いますので、必ず入札を行う度に官公庁から提示された様式を使ってください。 例えば、次のような内容です。 ・入札金額 などです。 (具体例 法務省 入札・契約関係書類) |
契約書 | 入札がおわり、落札者が決まったら、官公庁と落札者は契約書に記名・押印し、契約を成立させます。 ※官公庁ごと、入札ごとに内容が違いますのでしっかり読み込む必要があります。(具体例 法務省 工事請負契約書) |
一般競争入札参加資格を変更・更新するには?
入札資格申請のあとに、内容に変更点があれば、申請した官公庁で変更届などを提出する必要があります。
入札参加の際には、変更・更新の仕方を確認してください。
例えば次のような変更点です。
- 事業主の死亡
- 法人の合併消滅、破産による解散、廃業
- 営業所の氏名、郵便番号、住所、電話番号の変更
- 営業所の新設
(具体例 国土交通省 国土地理院 資格審査からの変更点)
おわりに
いかがでしたでしょうか?
一般競争入札は、官公庁との繋がりの強い企業も、新規参入企業も、同じ立場で勝負できる入札方法です。
この一般競争入札で作った実績は、他の官公庁でも実績として評価されます。
そして、基本的な仕組みは同じですので、一度やり方を覚えれば、他の官公庁や他の一般競争入札にも応用できます。
最初に良い実績を積むと、指名競争入札で指名されたり、随意契約で選ばれたりなど、更に大きなメリットがあります。
官公庁ビジネスをお考えの方は、是非一般競争入札にチャレンジしてみてください。