自治体営業

自治体から中小企業へのアウトソーシングが活性化!背景とメリットを解説します

「自治体 アウトソーシング」アイキャッチ写真

自治体から発注される仕事といわれて思い浮かべるのは、どのような業務でしょうか。
多くの方が年末の道路工事や、橋・建物の建設を思い浮かべるかと思います。

しかし、実は建設や土木工事などの「公共工事」はごく一部。
私たちが住みやすく働きやすい地域社会をつくるためのさまざまな仕事が、国や全国の地方自治体から民間企業・個人事業者・NPO団体などに発注されています。

民間企業などへの発注は「アウトソーシング」といい、今後ますます活性化するといわれています。
中小企業にとっては経営基盤の安定などにつながり、チャンスといっても過言ではありません。

そこで今回は、自治体が中小企業にアウトソーシングする背景やメリットについて、詳しく見ていきましょう。
この記事が入札への参加準備などの参考になれば幸いです。

自治体からのアウトソーシングが活性化する4つの背景

「自治体 アウトソーシング」写真1民間企業への幅広い業務の委託発注は、ひと昔前には考えられませんでした。
急速に増加している背景として、以下の4つがあります。

背景1.社会情勢の変改による市民ニーズの多様化

1つ目は、社会情勢が変化したことによる市民ニーズの多様化です。

かつて、日本が高度経済成長期にあったときには、公共交通機関の整備や道路舗装、上下水道の整備などを中心に、国民の基本的生活を満たす社会を目指していました。
そのため自治体からの仕事は、建設や土木工事を中心に発注されていました。

これらにより、今の日本の社会基盤が作られたといっても過言ではありません。

では、現在はどうでしょう。
蛇口をひねれば安心、かつ安全な飲み水が出てきます。
舗装された道路で行きたい場所にもスムーズに移動でき、鉄道やバスなど公共交通機関もストレスなく利用できますよね。

このように生活が便利になったことでかつての市民のニーズも満たされて、結果として行政や自治体の役割も変化してきています。

現在日本が抱えているのは、

  • 少子化・高齢化
  • 地域の産業振興
  • 子育ての問題
  • リサイクルや地球温暖化対策

のような、対応が難しい社会課題です。

また個人の考え方やライフスタイルも多様化が進み、100人の一般市民が集まれば100通りの市民ニーズが出てくるようになりました。

成熟して多様化した社会が実現した結果、国や地方自治体はかつてない幅と深さの地域課題に直面し始めたのです。

これまでのように、建物や道路など物理的なモノを作れば解決するわけではありません。
課題解決のためには、新たな分野の知識や技術、ノウハウを持って対処することが必要になっています。

このように、多様化した市民ニーズに応えるため、専門的な技術や優れたノウハウをもつ民間企業や市民団体への業務のアウトソーシング化が進んできているのです。

背景2.行財政改革の推進

2つ目は、限られた財源でキメ細かいニーズに対応していくためです。
その結果、公共サービスを中心とした改革が進められています。

日本は、少子高齢化社会に突入しています。
人口減少が進むにつれ、地域課題の解決の不可欠な税収は減っていく一方です。

限られた財源で、今まで以上に質が高くキメ細かい市民ニーズに対応していかなければいけません。

そこで取り組まれているのが、行財政改革です。
組織運営に非効率なところはないか、公務員の人数が適正か、ムダな事業はないかなど、さまざまな行政運営の面で厳しい見直しに取り組んでいます。

その一環で推進され始めたのが「公共サービス改革」
今まで国や地方自治体が担ってきた公共サービスを見直し、民間企業の技術やノウハウを提供・活用してもらう方が、より効果的に課題を解決できると考えているのです。

背景3.地域の産業振興を進める必要性の高まり

3つ目は、地域に産業振興を進める必要性が高まっていることです。

国や自治体において重要な政策の1つとして、「産業の振興」があります。
その中でも特に重要とされているのが、地域にある中小企業の振興です。

日本の産業構造の特徴として、企業全体のうち中小企業が圧倒的な割合を占めています。
中小企業庁がまとめた2016年の調査によると、個人事業主を含む中小企業の数は全体の99.7%を占めるほど。

【出典】中小企業庁「中小企業・小規模事業者の数(2016年6月時点)の集計結果を公表します」

すなわち、日本の経済を支えているのは、中小企業といっても過言ではありません。

しかし、ビジネスのグローバル化に伴い、国内景気の動向も海外の金融市場やエネルギー価格などに強く左右されるようになりました。
そのような場合に、真っ先に影響を受けるのも中小企業です。

中小企業が景気の動向などの影響で廃業に追い込まれることは、国にとっては大きな損失となりかねません。

そこで昭和41年に制定された「官公需についての中小企業の受注確保に関する法律」があります。
これは、中小企業が国や自治体のお仕事を受注する機会をなるべく増やすことを目的としたもの。

国や自治体の仕事は土木や工事に限りません。
さまざまな種類の取引が確実に実行されることは、中小企業者の経営基盤の安定にとって、きわめて有効な手段となります。

特にリーマンショック後、全国の地方自治体ではこの法律を根拠とし、中小企業の受注に有利になるようなさまざまな決まりを作り始めました。

例えば、神奈川県庁では「中小企業者の官公需の受注機会の確保・増大のための施策の要点」を作成し、次のような方法で中小企業を応援しています。

① 官公需情報の提供の徹底(発注見通しや入札結果に関する情報の提供、インターネットによる入札手続きの推進、中小企業の受注能力の向上のために質問や相談に積極的に応じるなど)
② 中小企業・小規模事業者が発注しやすい発注とする工夫(価格面、数量面、工程面等からみて分離・分割した発注に努めること、物品等の発注に当たっては、真にやむを得ないと認められる場合を除き、直接の銘柄指定はもとより原材料等の間接の銘柄指定等を行わないこと)
③ 中小企業、小規模事業者の特性を踏まえた配慮(技術力の高い中小企業はその技術力を正当に評価すること、県内や地元の中小企業、特に新規開業した中小企業の受注機会の増やすことなど)
④ ダンピング防止等の推進(適正価格での契約や価格と品質が総合的に優れた中小企業の受注機会を増やすこと、消費税や燃料、原材料の市況価格を考慮することなど)
⑤ 新規中小企業者への配慮(創業10年未満の中小企業者の受注機会の増大を図ること)
⑥ 東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、令和元年台風15号及び台風19号において被災した中小企業・小規模事業者に対する配慮
⑦ 中小企業者・小規模事業者の「働き方改革」に対する配慮(納入時期の平準化や弾力化、適正な納期や工期の確保など、発注・契約条件の工夫を通じて配慮すること)

目星をつけている自治体にも神奈川県のような法律があるか、一度確認してみてください。

【出典】神奈川県「神奈川県の官公需について」

背景4. ICTの普及

4つ目の背景として、ここ最近のICT社会の到来も今後アウトソーシングが進む一因になるといわれています。

ICTとは、通信技術を活用したコミュニケーションのことで、Information and Communication Technology(情報通信技術)の略です。

世の中で起こった出来事は、あっという間にインターネット上のWEBサイトやSNSを通じて市民の知るところとなりました。
国や自治体の仕事にまつわる出来事も例外ではありません。

ICTという社会インフラの劇的な普及により、国や自治体のお仕事発注プロセスに今までになかった高いレベルでの公平性・公正性・透明性が重視されるようになりました。

すなわち、大手企業が有利だった時代は終わりに近付いています。
仮に実績が少ない中小企業でも優れた技術やノウハウがあれば、決められたプロセスに沿って取り組むことで、チャンスは平等に与えられるのです。

自治体が企業にアウトソーシングするメリット

「自治体 アウトソーシング」写真2民間企業が自治体の仕事を受注するためには、自治体側が民間企業にアウトソーシングするメリットを理解するのがおすすめです。

行政サービスやプロジェクトをアウトソーシングするメリットは、大きく以下の2つです。

メリット1.自治体サービスのコスト削減効果

1つ目は、アウトソーシングによって自治体のコスト削減につながることです。

先ほど少子高齢化や人口減少による税収の減少、近年の行政の地方自治法改正による地方分権の動きがあると解説しました。

各自治体は、行政サービスなどを実施するための財源確保を各自治体で行わなければなりません。
その結果、歳出削減に力を入れる必要が出てきています。

このような背景の中で、自治体は行政サービスやプロジェクトの一部をアウトソーシングすることで、携わる人員やコストの削減を目指しています。

メリット2.自治体サービスの質の向上

2つ目は、民間企業のノウハウなどで自治体サービスの質が向上することです。

自治体の仕事は、地域の住民の課題解決です。
コスト削減だけが実現できれば良いわけではありません。

課題解決となる業務サービスの質低下は、そのまま自治体の評価にもつながります。
地域住民が快適に暮らすために必要な行政サービスは、安定して質の高いものを提供できないと、暮らしを守るという自治体の目的が果たせなくなります。

かつてはコストを意識し過ぎたため、十分な質を担保した行政サービスが提供されなかった事例もあります。
周りの目が厳しくなったことも重なり、質の担保、向上はかなり意識されるといえるでしょう。

このような時代の流れは、中小企業にとっては追い風です。
質の高い技術やサービスを持っていれば、コスト面やサービスの質において自治体にとってのメリットを大企業より出すことも可能。
自治体ビジネスに参入するチャンスとなり、経営基盤の安定に向けた第1歩となるのです。

まとめ:自治体から中小企業へのアウトソーシング増加は経営基盤の安定につながる

「自治体 アウトソーシング」写真3今回は、自治体が民間企業にアウトソーシングする背景やメリットを解説しました。

自治体から民間企業へアウトソーシングは、今後ますます活性化されることが予想されます。

しかも以前のように、公共サービスを上意下達で民間企業や市民に提供するだけではありません。
地方自治体と民間企業がそれぞれの得意分野を活かした役割を当事者として担い、パートナーとして互いに協力し合いながら、活気ある社会を創っていこうとする流れです。

お互いが対等なパートナーとして地域や社会をともに創っていく時代となっています。
このような中で、民間企業は地域課題を解決する提案やアドバイスをパートナーとして、対等な立場で国や地方自治体からそのノウハウが求められるはずです。

ぜひ自治体との仕事で地域課題の解決、そしてより快適で安心して過ごせる日本社会を目指して取り組んでみてください。
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