自治体営業

拡大する自治体市場の仕組みと重要ポイントをわかりやすく解説


はじめに:広がる自治体市場

自治体市場に興味はあるが、自治体市場はどういう仕組み?

自治体市場の将来性は?

と疑問に思っている方も多いと思います。

実は、官公庁(国・自治体)が直接行なっている業務は、すべて民間企業による運営が可能です。

しかし、

✔︎ 間違った公権力の使用を防止したり、

✔︎ 公共の福祉という目的を達成するために、

一定の規制が行われています。

近年の日本の流れとして、この規制が徐々に取り払われ、従来官公庁にしかできなかった業務でも民間企業が参入することが可能になりつつあります。

ここでは、拡大傾向にある自治体市場について解説します。

自治体市場の内容

自治体市場の内容

公共事業

道路・下水道・公園などの整備費用です。

自治体の物品購入・庁舎の施設管理業務

自治体庁舎で使用する、机や椅子、コピー用紙、自治体庁舎の光熱水費支払いや電気保守管理などもあります。

自治体向けソリューション

行政の合理化・効率化・透明性の向上のために、1994年「行政情報化基本計画」が策定され、2003年「電子政府構築計画」が始まりました。

国全体でも、IT化を進めています

出典:総務省・電子政府

近年、サイバーセキュリティも重視されています。

2019年サイバーセキュリティ基本法が施行されています。

また、日本政府は地方自治体の電子化も推奨しており、2014年総務省が各地方自治体むけに「電子自治体の取組みを加速するための10の指針」を進めました。

電子政府、電子自治体を実現するために自治体向けソリューション市場が拡大しています。

民間企業に任せる公共サービス等

従来、自治体が公務員を雇用して直接行なっていた業務を、民間企業に開放しつつあります。


自治体市場拡大の流れ

自治体市場拡大の流れ

自治体市場が急速に拡大している理由は、従来官公庁が行なっていた業務を民間企業に任せ、さらにその任せる範囲も広がっているからです。

次に日本における自治体市場拡大の流れをまとめます。

民営化 国や地方自治体の業務、公企業を民間経営に移すこと。
1980年代の民営化によりNTT、JT、JRが発足しました。
民間委託 主にコスト削減のために、自治体の業務の一部を、民間企業が行うこと。
公共施設の管理、ゴミ処理、コンピューター管理などがあります。
官公庁と私企業が請負契約(民法第632条)や準委任契約(民法 第656条)を結ぶ方式です。
単年度契約・発注が細切れであることが特徴的です。
PFI 1999年民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(PFI法)が成立しました。

単年度契約・細切れの発注の「民間委託」とは違い、長期一括発注できます。

※2011年の改正までは、公の施設の料金の受け取りや、施設の使用許可の行使などに係る業務は民間に委託できませんでした

指定管理者制度(地方自治法) 2003年の地方自治法改正により、それまでのPFIではできなかった、料金の受け取りや施設の使用許可も可能になりました。

ただし、下水道、道路及び空 港分野は、民間に委託できませんでした。

公共サービス改革(市場化テスト) 2006年「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律」(公共サービス改革法)ができました。

公共サービス改革(市場化テスト)とは、公共サービスにおいて「官」と「民」が対等な立場で競争入札に参加することです。

これにより、国の公共施設の管理の範囲が拡大しました。

公共施設等運営権 2011年「公共施設等運営権に係る制度の創設」(改正PFI法)

コンセッション方式です。この改正PFI法により、公設民営方式が可能になりました。

民活空港運営 2013年 民間の能力を活用した国管理空港等の運営等に関する法律(民活空港運営法)

によりコンセッション方式の空港運営が可能になりました。

 


自治体市場を考える上で重要な前提と制限

自治体市場を考える上で重要な前提と制限

民営化・民間委託されやすい業務・されにくい業務

拡大する自治体市場を考える上で、

①自治体が直接行う業務

と、

②民営化・民間委託が可能な業務

にはどのような線引きがあるのでしょうか?

基本的に「自治体住民の人命や生活に影響のない業務」から民営化・民間委託に変わっていく傾向があります。

逆に「自治体住民の人命や生活に影響を及ぼす業務」は民営化・民間委託が難しくなります。

民営化・民間委託が難しい業務とはどのような業務でしょうか?

その線引きの際には「公権力」「公共の福祉」を考えなければなりません。

前提:すべての人は生まれながらにして自由で平等

現代においては、人が、全世界どこにいても、いつでも守られる基本原則があります。

この基本原則は、すでにある国の仕組みや法律を超えて存在します。

それは「すべての人は生まれながらにして自由で平等である」という原則です。

誰もが生まれながらにして自由で平等であるため、他人をモノのように扱うことは許されません。

具体的には、世界人権宣言、国際人権規約にわかりやすくまとめてあります。

更に、女性や子ども、ハンディキャップを持つ人々など、歴史的に人間性を奪われてきた人々には、特別な法律を設けています。

女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約

児童の権利に関する条約

あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際連合宣言

障害者の権利に関する条約

これが、大原則です。

強い公権力を伴う業務は民営化されにくい

✔︎ 国や地方公共団体は、国民・住民に対して命令・強制し、法律関係を形成する力を持っています。

これを公権力といいます。

公権力は「すべての人は生まれながらにして自由で平等」という原則を簡単に侵害してしまう力です。

例えば、都道府県警察は、特定の人を突然逮捕して拘束したり犯罪捜査という理由で物を持って行ったり、お金を使えなくしたり、他人の家に入ったりすることができます。

民間企業の社員が人の自由を奪い閉じ込めたり、物を持ち去ったり、勝手に家に入れば犯罪ですが、一定の条件をクリアした公務員が行えば犯罪ではないのです。

警察以外の公務員も、国民・住民に対して様々な形で権力を持っています。

この公権力を間違った形で使われないように、制限があります。

自治体市場での仕事も、国民・住民に対する「公権力」に係る仕事ですので、「公権力の濫用」と認められれば制限されますし、取り消されたり、損害賠償の対象になります。

当然、司法やマスコミのチェックも厳しくなります。
受注する側も訴訟リスクやコストがかかり、地域住民の反対の声も上がります。

強い公権力を伴う業務であれば、民営化や民間委託が難しくなります。

公共の福祉を理由に民営化されにくい業務がある

上記の「前提:すべての人は生まれながらにして自由で平等」のとおり、他人の命や健康・財産・尊厳を危険に晒したり、他人をモノのように扱ってはいけません。

人間をちゃんと人間扱いするために、他人の命や健康・尊厳を守ために、公共の福祉という名目で利害調整を行なっています。

自治体ビジネスでも、公共の福祉を理由とした制限が出てきます。

この利害調整に問題がありそうな業務は、民営化や民間委託が難しくなります。

自治体の業務が正しいかどうかは地域住民が判断

また、他人のお金(税金)を使う以上、「生まれながらにして自由で平等」な人同士、必ず同意をえなければなりません。

規模が大きく、全員の同意を得ることが難しいため、代表者として議員を選び議会で決定します。

しかしながら、自治体ビジネスの成果物が正しいかどうかは、国民・地域住民が判断します。

官公庁の担当者はあくまでも、作業を行う人であり、判断をする人ではありません。

自治体市場を予測する上で重要な「世界の動き」

自治体市場を予測する上で重要な「世界の動き」

国の指示を待たず、自ら動く地方自治体

2019年12月、長野県が「気候非常事態宣言」を出しました。 

この「気候非常事態宣言」は、世界各地の地方自治体・地方議会が次々に出している宣言です。

国の動きを待つことなく、地方自治体自らが、世界規模の問題に向き合い、自主的に気候変動対策に打って出ています。

以前の地方自治体では、国からの政策通知文を参照し、それを自治体向けに直して政策を作り、民間企業などに発注していました。

まず、先に国が動き、次にゆっくりと地方自治体が動き出す状態でした。

しかしながら、近年、地方自治体が、国よりも早く「世界の動き」を察知し、国よりも先進的な政策づくりに乗り出すようになりました。

現在の地方自治体の動きを予想し分析するには「世界の動き」もしっかり把握する必要があります。

持続可能な開発目標(SDGs)

国の指示を待たずに、自ら動く地方自治体が行動の基準にしているのが、この持続可能な開発目標(SDGs)です。

この持続可能な開発目標(SDGs)が、自治体市場のかなめになるため、是非確認しましょう。

持続可能な開発目標(SDGs)のゴールは次のとおりです。

貧困をなくそう あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符をうつ
飢餓をゼロに ①飢餓に終止符を打ち、食料の安全確保と栄養状態の改善を達成する

②持続可能な農業を推進する

すべての人に健康と福祉を あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する
質の高い教育をみんなに すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
ジェンダー平等を実現しよう ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る
安全な水とトイレを世界中に すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する
エネルギーをみんなにそしてクリーンに すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーのアクセスを確保する。
働きがいも経済成長も すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワークを推進する
産業と技術革新の基盤を作ろう レジリエントなインフラ整備、包摂的で持続可能な産業化の推進、イノベーション拡大
人や国の不平等をなくそう 国内および国家間の不平等を是正する
住み続けられるまちづくりを 年と人間の居住地を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする
作る責任、使う責任 持続可能な消費と生産のパターンを確保する
気候変動に具体的な対策を 気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る
海の豊かさを守ろう 海洋と海洋資源を持続可能な形で利用する
陸の豊かさも守ろう 生態系の保護、森林管理、砂漠化対処、生物多様性の保護
平等と公正をすべての人に すべての人々に司法のアクセスを提供、制度設計
パートナーシップで目標を達成しよう

まとめ

 

いかがでしたでしょうか?

現在、公共サービスが民間事業者に仕事を任せる範囲が拡大し、それとともに自治体市場も拡大傾向にあります。

また、自治体が国の指導を待たずに、世界と連携し、自主的に世界が直面する問題を解決する方策を打ち出しています。

地方自治体が独自に動き、それによる自治体市場拡大も見込まれます。

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