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最低制限価格制度とは何か?目的から具体例まで徹底解説

はじめに 

最低制限価格制度とあるけれど、これはどういう制度なのでしょう。

ちょっと表現が難しくわかりにくいな、、と感じる方がほとんどだと思います。

しかし、この最低制限価格制度はほとんどの地方自治体が導入している大事な制度です。

  • 最低制限価格制度はなぜ導入されたのか?
  • その目的は?
  • 最低制限価格制度を使うと、落札基準はどうなるのか?
  • 他の制度とはどう違うのか?

など、基本からしっかり徹底解説いたします。


最低制限価格制度の導入状況

最低制限価格制度の導入状況国や地方公共団体といった官公庁の中で、最低制限価格制度はどの程度導入されているのでしょうか?

平成29年3月31日時点

✔︎ すべての都道府県

✔︎ すべての政令指定都市

✔︎ 8割以上の市町村

となっており、ほとんどの地方自治体がこの制度を導入していることになります。

それでは、なぜこの制度をこんなにも多くの地方自治体が導入しているのでしょうか?

どのような目的があるのでしょうか?


最低制限価格制度の目的

最低制限価格制度の目的「最低制限価格制度」は地方自治体独自の制度です。

この制度は何のために作られた制度でしょう?

✔︎ ダンピング対策のため

ダンピング対策のために作られた制度です。

ここで、そもそもダンピングとはどういう意味か確認してみましょう。

ダンピングとは 不当廉売のことです。

コストや利益を無視した不当に安い値段で取引することです。

ダンピング(不当廉売)は、独占禁止法上で規制されています。

なぜ独占禁止法でも規制されているのでしょう?

不当に安い値段で取引がされ始めると、次のような問題が起きてしまうからです。

ダンピングの問題点

工事の手抜きが起こる。
不当に安い価格で受注したことにより、下請業者にしわ寄せがくる。
その官公庁ビジネスに係る、労働者の労働条件が悪化する。
安全対策が行われなくなる。
他の会社や事業者がその事業を続けることができなくなる。
地域経済に悪影響が出てくる。

地方自治体は、日本国内の産業やその地域の産業を活性化する社会的な責任があります

いくら税金の節約になるからと言っても、日本国内やその地域の産業を潰してしまうことは許されません。

したがって、「最低制限価格制度」などの特別な制度を作りダンピングを規制しています。

また、落札し契約をしたのに、安価すぎて目的達成が不可能な取引を避けるための目的もあります。


最低制限価格制度の対象になる契約

最低制限価格制度の対象になる契約最低制限価格制度の対象になる契約は、あらかじめ法律等で決められています。

✔︎ 地方自治体が発注する工事

✔︎ 地方自治体が発注する請負

です。

地方自治法234条3項や、地方自治法施行令167条の10の他にも、各地方自治体で実施要領が作成されていますので、是非ご確認ください。

(具体例:千葉県建設工事等に係る最低制限価格制度実施要領

 

地方自治法234条3項 【契約の締結】
3 普通地方公共団体は、一般競争入札又は指名競争入札(以下この条において「競争入札」という。)に付する場合においては、政令の定めるところにより、契約の目的に応じ、予定価格の制限の範囲内で最高又は最低の価格をもつて申込みをした者を契約の相手方とするものとする。ただし、普通地方公共団体の支出の原因となる契約については、政令の定めるところにより、予定価格の制限の範囲内の価格をもつて申込みをした者のうち最低の価格をもつて申込みをした者以外の者を契約の相手方とすることができる。
地方自治法施行令167条の10 2 普通地方公共団体の長は、一般競争入札により工事又は製造その他についての請負の契約を締結しようとする場合において、当該契約の内容に適合した履行を確保するため特に必要があると認めるときは、あらかじめ最低制限価格を設けて、予定価格の制限の範囲内で最低の価格をもつて申込みをした者を落札者とせず、予定価格の制限の範囲内の価格で最低制限価格以上の価格をもつて申込みをした者のうち最低の価格をもつて申込みをした者を落札者とすることができる。

地方自治体が発注する工事とは

地方自治体が発注する工事にはどのような工事があるでしょうか?

例えば次のような工事になります。

災害を防止したり、減らしたりする工事 地震対策や津波対策があります。
地震対策としては、耐震化工事や電力確保工事などがあります。
すでにある公共物の維持をするための工事 公共施設の補強や修理、リノベーション工事などがあります。
バリアフリー工事などもあります。
まちづくりや、地域の利便性を高めるための工事 まちづくりのための工事には、や、歴史的・文化的価値のある地域の資産を維持するための工事などがあります。

地域の利便性を高めるための工事には、保育・託児所や保健施設、公園などもあります。

環境の保護や、地球温暖化対策のための工事 省エネルギー化の工事や、再生可能エネルギー工事などがあります。

製造その他の請負とは

請負契約とはどのような契約なのでしょうか?

請負は、民法632条に規定があります。

民法632条【請負】

請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

それでは地方自治体における「製造の請負」とはどのような契約なのでしょうか?

【地方自治体における製造の請負とは】

①地方自治体の発注に応じて、受注した事業者が仕事を完成する。
②完成した製品の所有権を、発注者である地方自治体に移転させる。

何が「製造の請負」に該当するか?については、契約ごとの内容で判断されます。


最低制限価格制度の算定の具体例

最低制限価格制度の算定の具体例それでは、最低制限価格制度はどのように算定されるか具体例をあげます。

次の図をご覧ください。

(出典:総務省公式サイト「地方公共団体の入札・契約制度」)

ある地方自治体におけるある競争入札において次のように決まりました。

予定価格は1,000万円

最低制限価格は800万円と仮定します。

ここで、6つの入札参加事業者ABCDEFが、入札に参加し、金額を提示しました。

予定価格である1,000万円を超えてしまった入札参加事業者

F 1,050万円です。

最低制限価格である800万円を下回る入札参加事業者はABCと3つあります。

これらは、地方自治体が想定していた金額よりも安い金額を入札で提示した事業者です。

A 600万円

B   730万円

C   780万円

です。

これらの3つの事業者は「失格」となります。

さて、残りはDとEです。

Dは、820万円を提示しました。

Eは、950万円を提示しました。

ここで金額を比較して、より安い820万円を提示したDが落札者に決定します。

※地方自治体によって、入札によって計算基準が若干違ったりする可能性がありますので、入札の案内や要項をしっかり熟読することをお勧めします。


低入札価格調査制度と最低制限価格制度の違い

低入札価格調査制度と最低制限価格制度の違いダンピング対策には、最低制限価格制度の他に「低入札価格調査制度」があります。

低入札価格調査制度と最低制限価格制度の共通点は次のようになります。

【共通点】

✔︎ 公共のための工事、製造その他の請負に関する契約
✔︎ 競争入札
✔︎ ダンピング対策が目的

です。

低入札価格調査制度も最低制限価格制度も、競争入札におけるダンピング対策という同じ目的のために作られた制度です。

これらの制度が導入されている契約は限られています。

工事や製造その他の請負に関する契約の競争入札が行われた時に使用される制度です。

それでは、低入札価格調査制度と最低制限価格制度の違いどのような点でしょう?

【違い①】

根拠となる法律が違います。

低入札価格調査制度 会計法29条の6
予算決算及び会計令85条
最低制限価格制度 地方自治法234条
地方自治法施行令167条の10第2項

【違い②】

国も地方自治体も使う制度と

地方自治体のみの制度の違いがあります。

低入札価格調査制度 国も地方自治体も使う制度です。
最低制限価格制度 地方自治体のみの独自の制度です。

最低制限価格制度は、地方自治法が根拠法です。

そのため基本的に、地方自治体のみがこの制度を利用します。

【違い③】

落札者決定の違いがあります。

低入札価格調査制度 基準値は上限値です。
基準値を下回る入札参加事業者の中から落札者を決めます。
最低制限価格制度 最低制限価格を上回る入札参加事業者を落札者と決めます。

尚、低入札価格調査制度の計算の仕方は次のとおりです。
具体例で説明します。

ある官公庁のある競争入札について、予定価格が1,000万円

低入札価格調査基準価格が850万円

と決まりました。

(出典:総務省公式サイト「地方公共団体の入札・契約制度」)

入札に参加した事業者は、ABCDEFの6つの事業者です。

予定価格1,000万円を上回る事業者は、

F 1,050万円です。

低入札価格調査基準価格を下回る事業者はABCDの4つです。

A 600万円

B 730万円

C 780万円

D 820万円

この中で落札する事業者を決定します。

決定の仕方が、最低制限価格制度と違います。

【落札者を決定する方法の違い】

低入札価格調査制度 基準値を下回る事業者から選びます。

最も安いAからB、C、Dと入札内容を審査します。

Aを審査しましたが不適格でした。

次に安いBを審査します。審査しましたが、不適格でした。

次に安いCを審査します。審査しましたが、不適格でした。

次に安いDを審査します。審査したところ、適格でした。

したがって、落札者をDとします。

最低制限価格制度 基準値を上回る事業者から選ぶ。

※官公庁によって、入札案件によって違いがある可能性があります。

必ず入札要項を確認しましょう。


おわりに

おわりに

いかがでしたでしょうか?

最低制限価格制度と書いてあると、一見するとわかりにくいかもしれません。

しかし、この制度は多くの地方自治体で取り入れられている制度です。

制度ができた目的や意味をひとつひとつ確認し、理解してみると、様々な応用が可能です。

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