入札

地方自治体の入札の仕組みをわかりやすく解説!

はじめに:入札の本質を理解しよう

自治体の入札において、用語や仕組みが難しく、迷ってしまうことが多いと思います。

ここでは、入札の種類や入札資格などについて簡単にまとめ、便利な法律リンク集を用意しました。

企業と地方自治体の視点の違い

物やサービスを選ぶ時、「より良いもの」「より安いもの」を選ぶという点では、企業も地方自治体も同じです。企業は利益を生み出すプロとしての視点で動きます。

しかし、地方自治体には次のような特殊な視点で動いています。

地方自治体は、皆から集めた税金を使っており、次世代以降もコミュニティが存続するように、公共事業などの富の再配分を行わなければならない、という視点です。

公共事業などの富の再配分の際には、自治体は全ての人々を生まれながらにして自由で平等な存在とみなし、公平に扱うという義務があります。

この特殊性が、地方自治体における入札の厳正さにつながります。

入札の談合防止

公共事業の入札における談合問題は、豊臣秀吉時代にまで遡る、歴史あるトラブルです。

入札における談合に対しては、とても厳しくなっています。大きなペナルティもあるため、談合にならないように、気をつける必要があります。

不当な取引制限(入札談合)

(出典 公正取引委員会 不当な取引制限(入札談合)より)

入札の本来の目的は、基準を厳しく守って行われる公正な競争の実現です。

談合とは、入札に参加する企業同士が相談して、先に受注する企業や金額を決めてし舞うことです。

先に決めてしまうことで、価格や品質の競争が行われなくなるため、独占禁止法でも「不当な取引制限」として禁止されています。

近年は、入札談合で損害を受けた官公庁が、入札談合を行なった事業者に対し損害賠償を行うケース(独占禁止法25条、民法709条を根拠とする)や地方自治体の住民が、地方自治体に対して損害賠償を求める住民訴訟を起こす事例があります。

全国知事会では、談合に対してさらに厳しい対処を行うように指針を発表しています。

さらに、官公庁職員が働きかけた談合については「納税者である国民の利益を損ねる」とし、次の法律で厳しく処罰されます。

平成15年1月6日施行 入札談合党関与行為防止法(官製談合防止法)

平成19年政令第19号入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律施行令

 


入札に必要な資格

入札に必要な資格は、入札の際に自治体側から公示され説明されますので、資格に該当するかチェックが必要です。

入札資格の内容は、「入札できない場合」「過去の実績」「従業員数」「資本額」「経営規模」「経営状況」「事業者の所在地」などです。(地方自治法施行令167条の5、167条の5の2)

入札資格がもともとなく、「入札できない場合」については、地方自治法施行令第167条の4に書かれています。

①入札にかかる契約を締結する能力がないもの

②破産手続開始の決定を受けてまだ復権をしていないもの

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(32条の1)に該当するもの

指定暴力団員、指定暴力団員と生計を一にする配偶者(事実婚含む)、法人その他の団体であって、指定暴力団員がその役員となっているもの。指定暴力団員が出資、融資、取引その他の関係を通じてその事業活動に支配的な影響力を有する者(前号に該当するものを除く。)

次に該当する場合は自治体は「3年以内の期間を定めて、一般競争入札に参加させない」ことができます。

簡単な言い方では次のようなことです。

明らかな手抜きや、数量不足などの不正行為を行なった場合
入札やせりの時に、業務の邪魔をしたり、複数の事業者が一緒になって不正な利益を得ようとした場合
落札した事業者の契約や契約後の仕事の邪魔をした場合
落札・契約後の自治体側の仕事の邪魔をした場合
正当な理由がなく、契約内容の仕事を行わなかった場合
契約の後で、代金をわざと高額に見積もり請求した場合
上記の理由で一般競争入札に参加できなくなった人を、代理人・支配人・使用人として使った場合

入札の種類

明治時代に会計法が整備されて以来、「一般競争入札や指名競争入札、随意契約のどれが正しいか」については、時代の状況に応じて判断されてきました。

戦時中の公共事業はほとんど随意契約で行われていたりもしました。

現代においては、多くの人が参加できるように「一般競争入札」が良いとされ、原則となっています。例外的に「指名競争入札」や「随意契約」が行われます。

一般競争入札とは

✔︎最も機会が均等な公正な入札です。

内容 広告を出して、多くの人に入札に参加してもらい、その中で自治体にとってもっとも有利な条件の者を選ぶ入札方式です。
長所 激しく競争が行われるため経済性があり、透明性・公正性が高い点です。
短所 自治体側の事務負担が大きく経費がかかってしまう点や、広く募集するために不良・不適格な業者が入ってくる可能性が高い点。

指名競争入札とは

✔︎不良・不適格者な入札希望者が入ってこない入札です。

内容 ※現在はあくまでも条件つきで認められている入札方式です。

地方自治体が、あらかじめ限られた事業者を複数指名して、その複数の事業者の中でのみ競争させる入札方式です。

長所 先に自治体が事業者を選ぶので不良・不適格な入札希望者が入ってきにくい点と、自治体側の事務負担や経費が軽く済むという点です。
短所 指名される事業者が固定化し、自治体担当者との癒着をうむ点や、談合が簡単である点です。

随意契約とは

✔︎競争をせずに、自治体が事業者を選ぶ方法です。

内容 自治体が事業者を選ぶ方式です。不透明であるので、地方自治法や地方自治法施行令などで条件が細かく決められています。

金額が一定以下であったり、別の法律規則で決められた場合であったり、災害等の緊急性のある場合等です。

長所 競争の事務作業や経費を減らせる点と、技術力や専門性、信用などがある事業者を選ぶことができる点です。
短所 事業者選抜においても価格の設定においても、自治体担当者と事業者の癒着や不正が起きやすい点です。

政府調達協定(WTO協定)とは

都道府県・市町村の自治体入札は、平成6年「世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(WTO協定)」の「政府調達に関する協定」、平成24年「政府調達に関する協定を改正する議定書その他の国際約束」の決まりごとも守らなくてはいけません。

内容は、入札資格情報や入札情報、落札者の公示を行うことなどです。


入札の失格制度について

入札資格があり、入札に参加したのに、書類の不備などで失格となることがあります。

何が失格となるのかについては、事前に書面等で説明されます。


「より安く」から「より良い」への変化

自治体の入札においては、原則「より安い」物やサービスを選びます。

しかしながら、安いからといって質を無視すれば、当然行政サービスも質が低下します。

価格の安さだけでなく良質の物やサービスを選ぶために次の方法があります。

低入札価格調査制度とは

ダンピングによる行政サービスの質の低下を防止するためにできた制度です。

最低価格で申し込んだ事業者でも、内容が条件に満たなければ落札できない仕組みになっています。

①入札における「価格の上限値(予定価格と言います)」以下の事業者を選ぶ

②申し込み価格の安い事業者から、内容をチェック

③安くても、質がよくない事業者は不適格失格とする

④①の基準を満たし、一定以上の質が確保できる事業者を選ぶ

最低制限価格制度とは

この制度も「低入札価格調査制度」と同じく、ダンピング防止のためにできた制度です。

低入札価格調査制度との違いは、あらかじめ「価格の上限値(予定価格)」と「価格の下限値(最低制限価格)」の両方を決めて、最低制限価格以下の事業者は失格とする制度です。

総合評価方式とは

入札における落札者の決定において、価格だけでなく、技術力や実績、表彰歴、安全性、地域貢献度なども判断基準に入れる方式です。

価格以外の判断基準が入ることで、不透明性が増しますので、2人以上の学識経験者から意見をきき、評価基準と落札者の決定を行います。

グリーン契約について

グリーン契約とは、環境負荷が少なくなるように工夫した契約のことです。

物やサービスを購入する場合は、価格の低さだけでなく、環境性能の高さも評価しようという仕組みができています。

平成19年環境配慮契約法が成立し運用されています。


入札に必要な法律等リンク集

ここでは入札に必要な法律や通知などのリンクを集めました。

自治体職員はわからないことがあると法律や規則や通知を読み返し確認します。
交渉などがスムーズに運ぶように必要な法律のリンク集を作りました。

是非リンク集としてご利用ください。


まとめ

入札は、談合対策のために長い年月をかけて複雑化してきました。

そのため入札分類や契約方法は、法律的な専門用語が多く難しい点が多いと思います。

しかし、一度覚えてしまえば、他の自治体や国の省庁の入札にも応用ができる大変便利な知識です。

近年は、従来の「より安い」ものから「より良い」ものを選ぶ工夫もなされています。

価格を重視する「一般競争入札」もあれば、価格だけでなく技術力や専門性や業績を重視する「総合評価方式」もあります。

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