入札

総合評価落札方式にチャレンジするメリットは?

はじめに 

官公庁はどのようにして入札の落札者を選ぶのでしょうか?

入札の落札者を選ぶ際には、必ずその選ぶ基準が公開されています。
落札者を決める基準の中に「総合評価落札方式」という落札方式があります。

総合評価落札方式にチャレンジするメリットはどのような点でしょうか?

官公庁の発注業務を勝ち取るためには、落札者選定のシステムを知っておく必要があります。

ここでは、落札者選定のシステムである「総合評価落札方式」を説明します。


総合評価落札方式とは?

総合評価落札方式とは?

総合評価落札方式の特徴

総合評価落札方式とはどのような意味でしょう?

言葉の意味を確認してみましょう。

総合 「価格の安さ」だけではなく、技術力や安全性などの「質」を含めているという意味での「総合」です。
評価 事業者及び事業者が入札の際に出した提案書等を評価する、という意味の「評価」です。
落札 入札の結果、官公庁が発注する業務について、契約する権利が手に入ることです。

総合評価落札方式は、1990年代から導入された、比較的新しい評価方法です。

日本政府は、公共事業汚職対策や外国企業からの公共事業参入などの解決策として一般競争入札を原則にしました。

広く公募して価格のみで決定する一般競争入札が原則となったため、そのままでは公共事業の品質が確保できなくなりました。

安さを追求すると、品質低下や環境破壊を引き起こす可能性があります。
それらの問題を未然に防ぐためにできたのが総合評価落札方式です。

2005年には「公共工事の品質確保の促進に関する法律」が制定され、法律により明文化されました。

従来の「価格だけ」を評価する入札は「価格競争方式」といいます。

「価格競争方式」と「総合評価落札方式」との違いは次のような点です。

価格競争方式 「価格だけ」で勝負する入札
総合評価落札方式 「価格」と「質」の両方で勝負する入札

さらに、「質」で勝負する入札には、「プロポーザル方式」もあります。

プロポーザル方式と総合評価落札方式の違いは次のような点です。

おすすめ記事:プロポーザル方式と総合評価落札方式の違い

プロポーザル方式 ・行政側から示された用件に対する提案について、企画提案書と必要に応じてヒアリングで競い合う。

・提案内容については評価項目と配点が定められており、最も高得点の事業者を特定する。

総合評価落札方式 ・プロポーザル方式と同様に企画提案書と必要に応じたヒアリングで事業者を絞り込み、最終的に価格競争入札を実施。評価方法で定められた採点方法に基づき企画点と価格点の合計で最も高得点を獲得した事業者を特定する。

総合評価落札方式やプロポーザルで評価される「質」とは、どのような内容でしょうか?

ひとことで言うと、行政側が求める評価項目に対して最も内容的に優れた提案ができる実力と組織力を言います。

案件の事業領域によって異なりますが、例えばこんな項目で評価されます。

①   組織体制 事業を実施する組織の体制が整っているか。役割・責任・権限が明確になり、決められた後期内に業務を終了できる運営管理ができるものか。
②   担当者の力量 その業務を行うにあたって担当者が必要な技術、力量、実績、資格を有しているか。
③   事業実施方針 業務を実施するにあたり、どのような方針を掲げて取り組むのか。
④   業務の妥当性 要求された業務を的確に実施できる妥当性があるか。
⑤ 業務の創意工夫 その業務を実施し効果を最大化するにあたり独自の創意工夫がみられるか。
⑥ 業務実績 過去に類似の業務を実施した実績がどの程度あるか。
⑦ 業務実施工程 業務を実施する工程は妥当で無理がないか。


総合評価落札方式は、価格の安さのみではなく、上記①から⑥までの「質」について評価するシステムです。


総合評価落札方式のメリット

総合評価落札方式のメリット

それでは、総合評価落札方式をとる入札に参加することには、どのようなメリットがあるでしょうか?

メリット1:技術力があれば中小企業にもチャンスがある

国や自治体が発注する業務は、高い専門性や技術力が求められるものも少なくありません。

同じ技術力があるのなら、人件費の高い大手企業よりも中小企業の方がコストが少なく、安い金額で受注できることもあるのでチャンスは多いかもしれません。

メリット2:新しい技術や工法が評価される傾向がある

メリット1で触れた通り、国や地方自治体などの官公庁が、総合評価落札方式をとる場合は、高い技術力などを求めていることが多いです。

実際に、総合評価落札方式の最初の事例は、1990年のスーパコンピューター等の調達でした。

新しい技術や工法を開発している事業者にとっては、有利になる評価システムです。

メリット3:気候変動対策・自然環境保護策が評価されることも

現在、「持続可能な開発(SDGs)」に向けて、世界規模の取り組みが進んでいます。

また、気候変動対策や自然環境の保護も重要視されています。

ただ価格の安さだけを評価する「価格競争方式」では、事業者の気候変動対策や自然保護対策が評価されず不利になる場合があります。

「総合評価落札方式」の中には、気候変動対策や自然環境保護策をより重視する評価基準となっている案件があります。
こうした案件にエントリーすれば、日頃の環境対策はSDGsの取り組みが業務内容に加えて評価されます。

「総合評価落札方式」であれば、気候変動対策や自然環境保護策をより重視する評価システムにすることも可能です。

メリット4:住民の方々への配慮が評価される

官公庁が発注する事業を達成する際に、近隣住民が騒音問題やゴミ、排気ガス問題に直面することがあります。

価格のみの安さを求める価格競争方式の場合は、何も対策せずに安い金額を提示した事業者が落札してしまうことがあります。

「総合評価落札方式」であれば、騒音やゴミ、排気ガス対策などを行なっている事業者が高く評価されることが可能です。


総合評価落札方式の業者決定の基準は?

総合評価落札方式の業者決定の基準は?

それでは総合評価落札方式の場合の、落札業者決定の基準はどのような基準なのでしょうか?

もちろん、国の省庁や地方自治体によっても違いがありますし、入札案件により違いがあります。

入札の度に、必ず確認をすることをお勧めします。

ここでは、基本的な業者決定の基準について説明します。

学識経験者の意見を参考にする

地方公共団体が総合評価落札方式を使い落札者を決定する場合は、学識経験者の意見を聞きます。

地方自治法施行令には「学識経験を有する2人以上の意見を聞かなければいけない」(第167条の10の2)という決まりがあります。

「評価値」という数値で評価

事業者が作成し、提出した技術提案書を審査します。
そして、その審査を合格した内容について点数化します。

点数化に当たって次のような計算をします。

得点 あらかじめ決めた評価ポイントと計算法で点数をつけます。
価格 工事価格の他、維持管理費なども含める場合があります。
評価値 得点➗価格で計算されます。

いくつかの項目で評価値を合計することもあります。
この評価値が最も高い事業者が落札者に選ばれます。

 (参照元:国土交通省「総合評価落札方式パンフレット」より)

上の事例では、「安さ重視のA社」と「価格だけでなく技術力や騒音対策も考えたB社」が競争します。

B社は、技術力や騒音対策などが官公庁に評価され、「得点」が高くなった結果、「評価値」が高くなり、この契約を勝ち取っています。

このように、「総合評価落札方式」の入札は、価格以外の強みを活かせるようになっています。

総合評価落札方式のタイプ

総合評価落札方式にも、官公庁の目的に応じて様々なタイプがあります。

どの部分を重視するか?によって若干違いがあります。
これも、官公庁ごと入札ごとに違いがあります。

例えば次のようなタイプがあります。

施工能力評価型 確実性のある施工能力を特に高く評価するタイプ
技術提案評価型 施工能力に加えて、工夫のある技術も評価するタイプ

これらのタイプにもさらに細かな分類があります。

※評価方法については、各官公庁が公開しているガイドラインや入札要項で確認する必要があります。

評価値を計算するための用語

評価値を計算するために様々な用語が出てきます。ここでは、用語についてまとめます。

①標準点 官公庁の中で、方針や評価基準を決めます。

  • 総合評価方式を使うかどうか
  • 評価ポイントの数値化はどのようにするか
    などです。
②加算点 技術力など特に優れた部分を点数化したものです。
③施工体制評価点 実際に実現できそうか、確実性を点数化したものです。
④技術評価点 上記の、①標準点、②加算点、③施工体制評価点を足し合わせた点数です。

 

評価基準やガイドラインを公開

国の省庁や地方自治体などの官公庁は、公平性と透明性を重視します。

そのため、総合評価落札方式の評価の基準を事前に公開している官公庁が多いです。

具体例としては、

横浜市総合評価落札方式ガイドライン(2019年4月版)

江東区総合評価落札方式ガイドライン

などです。

是非、事前に確認してみてください。


総合評価落札方式の手続きの流れ

総合評価落札方式の手続きの流れ

それでは、総合評価落札方式の手続きの流れはどのようになるでしょうか。

国の省庁や地方公共団体などの官公庁によって若干の違いがある可能性があります。

さらに、入札ごとにも違いがある可能性があるので、必ず入札要項を確認してください。

①官公庁の中で評価基準を決める 官公庁の中で、方針や評価基準を決めます。

  • 総合評価方式を使うかどうか
  • 評価ポイントの数値化はどのようにするか

などです。

②入札参加者の募集など 広く公募したり、事業者を指名するなど、事前に決めたとおりの募集を行います。
③参加資格の確認 応募した事業者が入札に参加する資格があるかどうか審査します。

  • 実績
  • 技術者の資格

などをみます。

④提案書の評価 参加資格のある事業者が、提案書を提出し競争します。
⑤落札者を選ぶ 見積もり金額に基づき、あらかじめ決めた評価ポイントを点数にして、技術的な評価点と価格点を合計し評価値を計算します。
評価値が一番高い事業者を落札者と決めます。
⑥落札結果の通知
⑦契約 官公庁と落札した事業者が契約を結びます。
記名と押印をします。
⑧完了確認 官公庁は、発注した業務が契約通りに完了したかどうか確認します。

※総合評価落札方式の内容決定や、落札者選びの時、法律や必要性に応じて、学識経験者を審査に参加させます。


おわりに 

おわりに 

いかがでしたでしょうか?

総合評価落札方式と聞くと、少し難しいなと思われるかもしれません。

総合評価落札方式の本質は、仕事の質を求めるために作られたシステムです。

価格だけでなく技術力のある事業者を高く評価することを目的としています。

評価ポイントをしっかり見定めて入札に参加する必要があります。

また、総合評価落札方式は国の省庁や各地方公共団体で取り入れられているシステムですので、一度覚えると他の官公庁でも応用できるメリットがあります。

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